原木のこと
Forest Bliss の作品は、このような原木からつくります。 これは、森に立っていた
木を伐採後、板状に挽いて、何年も自然乾燥させたものです。 まだ樹皮がついて
いて、森に立っていた時の名残りをとどめています。
凡そですが、樹齢40年~60年の木を、数年~20年ぐらい自然乾燥させたものをこれ
までに使っています。 しっかり乾燥させてあるのは、後でゆがみや割れが起こら
ないようにするためです。
また、他の材質にはない木材の特性として、こうして乾燥し年数を経る間に強度を
増すのです。
とはいえ、こうした塊り状の木を削って、スプーンや皿などの形をつくると、多少
はバランスが変わって、たいていの場合、微妙なゆがみが生じます。 なおかつ、
スプーンや皿は日常的に水に濡れるものですが、水を吸って乾燥すると大きくゆが
むことがよくあります。
そのために、食べることに関わる木の道具は、一般的に、防水のための塗装が施さ
れています。 ですが、そういうものを使うと、原木の持っていた質感がガラッと
変わってしまいますし、塗装が剥げてしまったら不具合いが出てきたりします。
また、化学的に合成された塗料などは、人の身体への影響がよくわからない部分も
あります。 Forest Bliss では、原木の質感を生かし、安心して長く使うことがで
きるように、それとは異なる、より素朴なつくり方をしています。
それは、一気につくってしまわずに、途中の段階で、敢えて水に浸けては乾燥を繰
り返す、というものです。 こうすることで、木にゆがみたいようにゆがんでもら
い、それから私が仕上げをする、というわけです。
削っては水に浸け、乾燥し、また削ってと、手間と時間がかかってしまいますが、
こうして出来上がったものは、その後の狂いが少なく、何よりも、ぬくもりある
木肌の心地良い感触をとどめています。
ご注文をいただいてからおつくりするものは、このような過程を経るために、完成
までに少しお時間をいただいています。 木の生きてきた長い時間や、新たに生ま
れ変わるために必要な時間、そしてこれから道具として長く生きる時間を思い浮か
べながら、楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。
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