木の記憶
これは、以前つくったもので、ジュエリーレスト(日常使う指輪やアクセサリーなどを
かけておくもの)として販売しました。 自分でも気に入っていて、またつくりたいけ
れど、材料を入手する都合もあるので、それきりになっていて、思い出のようになって
います。
思い出と言うのには二重の意味があります。 というのも、この木は自分で伐ったもの
だからです。 樹高約15~20mのヒノキの木のてっぺんの部分を使っています。 伐っ
てすぐのときに樹皮を剥いて洗っておき、数年間乾燥させたものです。 まさに「とっ
ておき」でした。
天然木そのままの形で、まるでミニチュアの木が家の中に立っているようです。 樹形
も、凛として良い形をしています。 部屋におくと、空気感が変わります。

これを、早春の木立ちの中においてみました。 風景に溶け込んでいきそうで、この木
が森から来たのだということがよくわかります。
この木は作品として生まれ変わりましたが、それを見て何を感じるかは、その人の持つ、
木や森にまつわるイメージによって違うと思います。 私の場合は、この木を伐った時
の光景や、その頃の森の中での様々な体験や、いろいろな人との関わりなどが思い出さ
れます。
この作品を買ってくださった方は、もちろん、それとは違うことを感じていらっしゃる
と思います。 この作品を目にしたり、使う時に、その方の持つ木や森のイメージが
よみがえって、その方の生活に何か良い作用をしてくれたら良いなと思っています。
ところで、この木にも記憶があって、森に立っていた頃のことを懐かしんでいるかも
しれません。 そうだとしたら、どんなことを思い出しているのでしょう?
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